グリーン・ワンのあとに登場したのが、ティファニーダイヤルだ。おそらく読者の皆さんも私と同様、ティファニーダイヤルのRef.5711に辟易しているだろうから、くどくど解説するのはやめておこう-ただ、約1年経って、ようやく私たちはあの時を振り返り、あれが時計界にとってどれほど不条理なものだったかを理解し始めることができるとだけ言っておこう。それは、GameStop社の仕手戦による株価急騰に匹敵する時計業界の出来事だった。
2021年12月、パテックフィリップ スーパーコピーは最後の170本限定モデル、ティファニーブルー Ref.5711を発表した。フィリップスは1本をオークションに出品し、私たちはそのオークションを取材し、その落札が不成立となったあとの、実際の落札者(次点)を取材した。もしRef.5711の意見を十分に聞いていないのなら、これらの記事とその中にある600以上のコメントをご覧いただきたい。
パテックフィリップ ティファニーブルー 「ノーチラス」Ref.5711/1A-018
自動巻き(Cal.26-330 SC)
30石
2万8800振動/時
パワーリザーブ約45時間
SSケース(直径40mm)
120m防水
今、振り返ってみると、もう少し違った全体像が見えてくる。オークションに参加して、すべてが奇妙に思えたからだ。真っ青なダイヤルの時計にこれほどの金額が? オークション当日のフィリップスの会場は超満員だった。会場で一番有名なのはラッパーのリッチ・ザ・キッド氏(あるいはティファニーのCEOアレクサンドル・アルノー氏)だと思うのだが、よくわからなかった。すべてが青くぼやけたものだったからだ。
「ポップカルチャーがあのようにノーチラスを受け入れるのを見るのは、衝撃的でした」とリアドン氏は語る。「私のキャリアのほとんどにおいて、人々は私に ‘あなたは誰のために働いているのですか?’と尋ね、そして初めてパテック フィリップを知ることになったからです。本当に信じられないことでした」。ノーチラスは、パテック フィリップを多くの人、それも全世代に知ってもらうきっかけになったと、リアドン氏は言う。しかし、パテック自身がただの時計だと言い続けた時計のためにこれほどの注目が集まるのだろうか? 当時も今も、私には理解できないでいる。
「パテックの世界では、170本という数字は決して珍しいものではないのです」と、リアドン氏は言う。「ティファニーダイヤルは確かに特別ですが、決して珍しいものではありません。これらの時計の多くがInstagramに投稿され、誰かが購入し、翌日売って、ブランドと小売店の関係を利用して利益を得ていることに、非常に腹立たしさを感じます。これは、パテック フィリップがアメリカで築いてきた信頼関係を毀損する行為です。時計をどう扱おうが勝手ですが、買った翌日に転売するような人は、私のなかでは時計コレクターと見做しません」
「Ref.5711の炎を煽ったのです」とクー氏は言う。「多くの時計コレクターが、この経緯を快く思っていないことは承知しています。ただでさえ入手困難な時計市場において、私ならこうはしなかったでしょう」とクー氏は嘆息した。